メモ:ブラック校則・ブラック部活問題の現状と子どもの権利を考える

「ブラック校則」をなくすため、実態調査されている荻上チキさん、学校における子どもたちの問題を提起されてきた内田良さんによる、学校現場を取り巻く子どもの人権について議論する講演のメモです。

表題:学校問題シンポジウム ブラック校則・ブラック部活問題の現状と子どもの権利を考える。

日時:2018年2月26日(月) 17:30 – 20:00(専修大学)

講師:内田良(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授)

荻上チキ(NPO法人ストップいじめ!ナビ代表)

主催: 国際人権NGO ヒューマンライツ・ナウ

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目次
1.部活動
2.校則

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1.部活動

2001年の大教大附属池田小での事件が起こった後、学校での安全について広く考えられるようになりました。内田先生の調査によると、1950年頃から「学校安全」という言葉が使われてきていたものの、「学校で子どもの何人がなくなっているか」というエビデンスが存在しなかったそうです。

この数を実際に調査してみたところ、(いつからのデータかは聞き取れなかったのですが)過去31年の間に119件の死亡事故が学校で起こっていたそうです。この119件には、事故が起こった経緯や状況に酷似している点が多くみられたところだそうです。例えば、中1や高1の5~8月という、本格的に部活動に集中する時期に、多く事故が起こっていた点などが挙げられました。

「楽しいからはまる」ことが部活動の特徴であり厄介な点でもある、と内田先生は言います。

国語などの通常の学校での授業では、学習指導要領により指導時間数などが決まっています。しかし部活動や補修では、授業のように制度設計がされていないない。このように、制度設計がないため部活動は過熱しやすく、結果として生徒や教師が過剰に頑張りすぎてしまったり、場合によっては過熱しすぎて事故が起こるケースもあります。

また、制度設計が十分でないため、部活動ではルールに理不尽な点や矛盾が多くあります。そして整備されていない子との最大の問題は、子どもたちはリスクの高い状況に置かれてしまうことです。

そしてリスクへの対処されないのまま実際に事故が起きた場合、子どもや先生に責任が行ってしまう。責任がみんなに及ぶものの、本質的な問題である制度設計が不十分である点までには、議論に達しないという現状だそうです。

先生も生徒も、「本当はもっと休みたい」と思いながら、楽しくてのめり込んでしまう部活動。問題を自覚しにくい面もあり、「ブラックなのは一部だ」と答える先生が多いそうです。

しかし「一部の問題を皆で考えることが、教育学や社会学である」そして「部活動は、学校にいる3年間が盛り上がればいいというものではなく、生涯にわたりその部活動が好きであり続けるようなことが重要である」と先生は言います。

部活動の楽しさを残しながら、「本当にみんなが楽しいと言っているか?」と考え、一生涯続けたいなと思えるような部活動を設計する必要があるのではないでしょうか

 

2.校則

「クラスのゴミ箱にごみを捨ててはいけない」「遅刻したら廊下に正座」「学校の校内でのハイタッチの禁止」「学校に教科書を置いてはいけない」「学校外でも制服を着る」「学校外では制服は来てはいけない、」「恋愛はしてはいけない」

校則が嫌で学校を辞める子どもは、年間約1万人いると言われています。

不登校の子どもは現在12万人程度いますが、文部科学省の調査で「何が理由で嫌で学校をやめたのか」を聞くと、学校の決まりなどの問題と回答したこどもが10%もいたそうです。学校の校則などが原因で学校に行けなくなった子供がいる以上、多様な生徒たちの実態に合わせて校則を変える必要性について、改めて考える必要が出てきます。

校則の問題は、先生の多忙化を解決しない限りは解決しない、と荻上氏は言います。

学校の先生は過重労働により、生徒と一人ひとりと向き合う時間をつくることが難しい現状です。このように教員が多忙化した状況では、校則が手軽な生徒の管理の手段となってしまいます。しかし、生徒一人ひとりに向き合うのではなく、校則による管理が合理的になってきている現状は問題です。子どもたちの多様性を、見て見ぬふりをしてしまっているからです。

学校は「何かを教え込む」ためにあるのか、「生徒の一人ひとりの個性を伸ばす」ためにあるのか。校則は誰のため、何のためにあるのか、運用の在り方を今一度みなおす必要があります。